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クリニック移転費用の相場と内装コスト削減のヒント

2025/12/12

クリニック移転費用の相場と内装コスト削減のヒント

はじめに

クリニックの移転は、単なる引っ越しではありません。

地域に根差した医療を継続しながら、新しい環境でより快適で効率的な診療を実現するための大きなプロジェクトです。

患者様にとっては「通い慣れた場所が変わる」出来事ですが、医師やスタッフにとっては診療の質や働きやすさを左右する重要な決断となります。

新規開業と比べて「すでに運営しているクリニックの移転」は、患者さんやスタッフへの影響、医療機器の移設、既存内装の処分など独自の課題が加わります。

特に気になるのが費用の問題です。

では、実際にどのような費用がかかり、どの部分で工夫ができるのでしょうか。

クリニック移転にかかる費用の全体像

移転にかかる費用は、大きく分けて以下の項目に整理できます。

●物件取得費

保証金や礼金、仲介手数料など。規模や立地によって大きく変動します。

●内装工事費

移転費用の中で最も比重が大きく、昨今坪単価で60〜100万円程度が

一般的な目安です。

※診療科や設備仕様によってはさらに高額になることもあります。

●医療機器の移設・新規導入費

レントゲンや内視鏡など大型機器の運搬・設置は専門業者が必要です。

●引越し・廃棄費用

什器の移動や不要品の処分にかかる費用。

●各種手続き費用

行政への届出や広告のリニューアル、電話・IT環境の整備など。

一般的に30坪程度のクリニックを移転する場合、総額で数千万円規模になることも珍しくありません。

その中でも最も大きなウェイトを占めるのが内装工事費です。

内装コストが膨らみやすい理由

クリニックの内装は、一般的なオフィスや店舗に比べて特殊な要件を求められます。

●法規制や衛生基準

 手洗い場の数や換気設備、バリアフリー対応など、医療法や建築基準法に基づいた仕様が必須です。

●複雑な動線設計

 患者さんの動線とスタッフの動線を分けたり、感染症対策を考慮したゾーニングを行ったりと、効率と安全性を両立するための工夫が必要です。

●特殊設備への対応

 給排水や電気容量、空調など、医療機器を安定的に稼働させるための設備工事が一般より高額になりがちです。

こうした条件が重なるため、同じ坪数の事務所や店舗と比較しても、クリニックの内装は高コストになる傾向があります。

内装コスト削減の工夫

この大きな出費をいかに抑えることができるのでしょうか。

いくつか実践的なヒントをご紹介します。

<レイアウト変更を最小限にする>

 既存の給排水や空調設備の位置を活かすことで、大規模な工事を避けられます。

<既存什器・設備の再利用>

 診察室の家具や受付カウンターなど、状態の良いものは新規購入を避けて活用すると効果的です。

<相見積もりとVE(Value Engineering)の活用>

 複数の業者から見積もりを取り、仕様や素材の見直しを行うことで、必要な機能を損なわずにコストを抑えられます。

<医療に特化した設計・施工会社を選ぶ>

 経験豊富な業者であれば、医療法規制や動線設計に精通しており、不要なやり直し工事を避けられるため、結果的にコストダウンにつながります。

移転を成功させるために

コスト削減は重要ですが、「安さ」だけを追求すると開業後の使い勝手や患者さんの印象に影響を与えかねません。

重要なのは、診療スタイルに合った最適な設計を実現しつつ、費用を賢くコントロールすることです。

さらに、物件選定の段階で給排水や電気容量をチェックしておけば、余分な改修費を回避できます。

また、移転スケジュールは行政手続きや工事期間を逆算して計画し、休診期間を最小限に抑えることもポイントです。

自治体や業種により利用可能な補助金・助成金がある場合もあるため、情報収集を怠らないようにしましょう。

おわりに

クリニック移転は大きな投資であると同時に、診療の質を高め、患者さんとの新しい関係を築く絶好の機会です。

費用の全体像を正しく把握し、内装コストの工夫を重ねることで、移転は負担ではなく未来へのステップになります。

「移転費用は思ったより高い」と感じる先生も多いですが、計画段階から専門家と相談しながら進めることで、不安は大きく減らせます。

大切なのは、費用をかけるべき部分と抑えるべき部分を見極めること。

そうすることで、患者さんにとって安心感のある空間、スタッフにとって働きやすい環境を、無理のないコストで実現できるはずです。

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