2025/12/09
スタッフが辞めないクリニックの内装設計ポイント
「スタッフが長く定着しない」――これは多くのクリニックで共通する悩みです。
人材不足が叫ばれる医療現場では、新しいスタッフを採用し、教育してもすぐに辞められてしまうことが少なくありません。
これは経営にとって大きな負担となるだけでなく、患者さんへのサービスにも影響を及ぼします。
もちろん給与や人間関係といった要素も重要ですが、実は「クリニックの内装設計」がスタッフの定着に意外なほど大きな役割を果たしています。
働きやすさや安心感は、毎日の空間設計から生まれるものと考えています。
~内装設計が人材定着に影響する理由~
スタッフは1日の大半をクリニックで過ごします。
動線が非効率だったり、休憩スペースが不十分だったりすると、毎日の小さなストレスが積み重なり、結果として「ここで長くは働けない」と感じてしまいます。
逆に、無駄のない動線や居心地の良いスタッフルームがあると、仕事の疲れをうまくリセットでき、「この職場で働き続けたい」と思える環境になります。
つまり内装設計は、スタッフの働きやすさと満足度を支える“見えない基盤”になりえます。
~スタッフが辞めないクリニックをつくる為の設計ポイント~
1. 動線の効率化
患者様とスタッフの動線が交差すると、混雑やストレスの原因になります。
診察室・処置室・検査室までの移動をシンプルにまとめることで、スタッフの疲労軽減と患者様の待ち時間短縮が同時に実現します。
2. バックヤードの充実
更衣室やスタッフルーム、個人ロッカーなど「患者さんから見えない空間」の充実は、働く人の満足度を大きく左右します。
窓のある休憩室や、落ち着いて昼食をとれるスペースがあるだけで、午後の診療に向けたリフレッシュ効果は抜群です。
3. 光と空気のデザイン
自然光や換気は、快適さを決める大切な要素です。
特にスタッフルームや休憩室に光が差し込むだけで、短い休憩時間でも心身のリセットに繋がります。
4. プライバシーの確保
更衣室の広さやロッカーの有無など、スタッフが安心して利用できる空間づくりも欠かせません。
物理的な余裕があることで、心理的な安心感も得られます。
5. 掃除と整理のしやすさ
日々の清掃や整理整頓が楽にできる設計は、無意識のストレスを軽減します。
収納の工夫や汚れにくい仕上げ材は、スタッフにとって働きやすさのポイントとなり、結果として患者様にも清潔な印象を与えます。
6. スタッフの声を反映する
設計段階で一緒に働くスタッフの意見を取り入れることができればベストです。
働く人の声を反映した空間は「自分たちの職場を一緒に作った」という意識を生み、それ自体が定着意欲につながります。
~小さな工夫で大きな効果を~
例えば「スタッフルームに窓をつけただけで雰囲気が明るくなり、離職率が下がった」という事例があります。
また「受付カウンターや作業台を少し高く調整した」ことで、事務作業や処置・検査の身体的負担が軽減され、スタッフの満足度が向上したケースもあります。
こうした改善は決して大掛かりな工事でなくても可能です。
日常のちょっとした不便を取り除くことが、働きやすさにつながります。
~まとめ~ 内装は“経営戦略”のひとつ
スタッフが辞めない職場をつくることは、採用や教育にかかるコストの削減にも直結します。
そして何より、安心して働ける環境は、スタッフの笑顔や余裕を生み、それが患者様の満足度へと繋がります。
クリニックの内装は、単なるデザインや見栄えだけではありません。
働く人の定着率を左右する「経営戦略の一部」として捉えることが大切です。
「この職場でずっと働きたい」と思ってもらえるクリニックづくり――その第一歩は、設計段階から始まります。
これから開業される先生方にとって少しでも参考になれば幸いです。
