2026/01/13
外部委託・BPOで変わるクリニック運営の現実
クリニック運営において、人材確保や業務負担の増大は多くの院長が抱える課題です。
特に受付・会計・レセプト・労務管理といった間接業務は、診療そのものに直接関係しない一方で、日々確実に時間と人件費を消費します。
こうした課題への対応策として、近年注目されているのが外部委託やBPO(業務プロセスアウトソーシング)です。
クリニックにおける外部委託・BPOとは何か
外部委託・BPOとは、院内で行っている業務の一部を外部の専門業者に任せることを指します。
クリニックでは主に次のような業務が対象になります。
・レセプト作成・チェック
・給与計算、労務管理
・経理・記帳代行
・予約管理やコール対応
・IT・システム管理
単なる「作業の外注」ではなく、業務プロセスそのものを切り出す点がBPOの特徴です。
人件費と時間を数値で見直してみる
外部委託の効果を実感しにくい理由の一つが、
「どれくらいのコスト削減につながるのかが見えにくい」点です。
そこで、よくあるクリニックの実例を数値で見てみます。
たとえば、受付・レセプト関連業務を担うスタッフ1名が、
月に約80時間を間接業務に費やしているケースを想定します。
・時給:1,500円
・月間業務時間:80時間
この場合、人件費は
1,500円 × 80時間 = 月12万円
年間では 約144万円 になります。
この業務を外部委託し、院内作業が月20時間まで削減できたとすると、
・削減時間:60時間/月
・人件費削減相当額:月9万円
・年間削減効果:約108万円
となり、委託費用を差し引いても十分な効果が見込めるケースがあります。
時間削減がもたらす「見えにくい効果」
外部委託の価値は、単純な人件費削減だけではありません。
削減された時間によって、次のような変化が起こります。
・スタッフが患者対応に集中できる
・残業時間が減り、離職リスクが下がる
・院長が診療や経営判断に使える時間が増える
特に院長自身がレセプト確認や労務対応に追われている場合、
月に数十時間の余裕が生まれることは、経営面で大きな意味を持ちます。
外部委託・BPOが向いているクリニックの特徴
すべての業務を外部に出せばよい、というわけではありません。
外部委託・BPOの効果が出やすいのは、次のようなケースです。
・スタッフが慢性的に不足している
・院長やベテランスタッフに業務が集中している
・医院継承や医療法人化を控えている
・今後の規模拡大を見据えている
特に医院継承後は、前院長時代のやり方を見直す好機でもあり、
業務整理と外部委託を同時に進めることで、運営の安定につながります。
外部委託を成功させるために意識したい点
外部委託・BPOを導入する際には、次の点を意識することが重要です。
・業務内容を明確に切り分ける
・最終判断は院内で行う体制を保つ
・定期的にコストと効果を見直す
「任せきり」にせず、
あくまで院内業務を支える仕組みとして活用することが、失敗を防ぐポイントです。
外部委託・BPOは経営改善の選択肢の一つ
外部委託やBPOは、人手不足を補うための対症療法ではありません。
人件費と時間を可視化し、限られたリソースをどこに使うべきかを考えるための経営手段です。
数字で見て、業務を整理し、必要な部分だけを外に任せる。
その積み重ねが、クリニック運営の安定につながっていきます。
