2026/01/15
評価制度と育成フローはなぜつながらないのか
人が育つ組織が必ずやっている“接続設計”
評価制度を整えても、人が育たない。
育成に力を入れても、成長が実感できない。
多くの組織で起きているこの問題の原因は
評価制度と育成フローが分断されていることにあります。
本記事では、人事・評価制度の観点から、
評価と育成をどう接続すれば「人が育つ仕組み」になるのかを整理します。
評価制度と育成フローの役割は本来違う
まず前提として、両者の役割は異なります。
評価制度の役割
- 期待役割を示す
- 行動や成果を測る
- 組織の価値観を伝える
育成フローの役割
- 成長のプロセスをつくる
- 行動を積み重ねさせる
- 次の役割へ導く
問題は、この2つが別々に設計・運用されていることです。
つながらない組織でよくある状態
評価制度と育成が噛み合わない組織では、次のような状態が見られます。
- 評価は年に1〜2回だけ
- 評価項目が抽象的
- フィードバックが少ない
- 育成はOJT任せ
結果として、「評価はされたが、次に何を頑張ればいいか分からない」という状態が生まれます。
接続のカギ①
評価項目=育成の“通過点”にする
評価項目は、結果を測るためだけのものではありません。
育成フロー上の通過点として設計する必要があります。
例えば、
- 等級ごとに期待役割を設定する
- 役割ごとに行動基準を定義する
- その行動基準を評価項目にする
こうすることで、評価項目そのものが「次に身につけるべき行動」になります。
接続のカギ②
評価は「結果」より「行動」に寄せる
育成につながらない評価制度の多くは、結果評価に偏っています。
- 売上
- 数値
- 達成率
もちろん重要ですが、それだけでは育成は進みません。
育成につながる評価では、
- どんな行動を取ったのか
- どんな工夫をしたのか
- どこまで自走できているか
といったプロセス評価を重視します。
接続のカギ③
評価フィードバックを育成フローに戻す
評価は、出して終わりではありません。
- 良かった行動
- 足りなかった行動
- 次に求める行動
これらを明確にし、次の育成ステップに反映させることが重要です。
評価結果は、育成フロー①「期待役割の明確化」に戻すための材料です。
接続のカギ④
評価運用をNo.2・管理職の役割にする
制度があっても、接続を担う人がいなければ機能しません。
ここで重要になるのが、No.2や管理職の存在です。
- 評価基準を現場の言葉に変える
- 日常業務で行動基準を示す
- 評価と育成をつなぐ会話をする
制度を「使う人」が育成を意識することで、初めて接続が生まれます。
評価制度は育成フローの「起点」であり「終点」
評価制度は、
- 育成のスタート(期待役割の提示)
- 育成のゴール(到達度の確認)
この両方を担っています。
つまり、評価制度は育成フローの外にあるものではなく、フローそのものの一部です。
接続されると何が変わるのか
評価制度と育成フローが接続されると、
- 何を頑張ればいいかが明確になる
- 成長の実感が生まれる
- 評価への納得感が高まる
結果として、人が育ち、組織が自走し始めます。
まとめ
評価と育成は「同じ線上に置く」
評価制度と育成フローは、別物として考えるものではありません。
- 評価項目は育成の目標
- フィードバックは次の育成設計
- 制度運用は現場で行う
この接続を意識するだけで、人事制度は「管理の仕組み」から人が育つ装置へと変わります。
この記事を監修した人
浅見 允文
16年以上にわたり人事・組織運営支援の分野で実務経験を積み、年間110件を超える医療法人および個人開業医からの支援要請を受ける、株式会社ジムチョーの創業者。事務長代行・事務代行といった実務支援に加え、診療所経営における人的資源管理、業務設計、運営体制の最適化に関する高度な知見を有する。中でも、管理職層・事務長層を対象とした育成・研修においては高い評価を得ており、組織基盤強化と持続的発展に資する中核人材の育成に継続的に取り組んでいる。
