2025/12/23
令和8年度診療報酬改定で外来医療はどう変わる?クリニック運営に迫る5つの論点
はじめに
令和8年度の診療報酬改定に向けた議論が、いよいよ本格的に動き始めています。

外来医療を取り巻く環境は、患者数のピークアウト、地域医療構想の進展、ICT活用の加速など、かつてない変化の局面にあります。今回示された検討論点は、診療報酬の見直しにとどまらず、クリニック運営の前提そのものを見直す必要性を示しています。
本記事では、外来医療をめぐる現在の議論を整理し、今後のクリニック運営にどのような影響が想定されるのかを解説します。
外来医療の転換点:減少する患者数と増加する高齢者が示す将来像
外来医療の構造変化
厚生労働省の将来推計によると、外来患者数は2025年を境に減少へ転じる一方、65歳以上の患者が占める割合は2050年には約6割に達すると見込まれています。
つまり、「患者総数は減るが、医療や生活支援を必要とする高齢者は確実に増える」という構造が、今後さらに明確になります。
この状況下では、外来診療のみに依存した経営は不安定になりやすく、外来と在宅医療を組み合わせた複線型の体制へと移行する動きが重要になるでしょう。
かかりつけ医機能の可視化と評価の強化
2025年4月にスタートした「かかりつけ医機能報告制度」は、2026年1月から医療機関による本格的な報告が始まります。
これにより、「どの医療機関が、どのような役割を担っているのか」が国民にとって分かりやすく可視化され、地域における医療機関の位置づけも一層明確になります。
次期診療報酬改定では、研修受講の状況や地域連携の取り組みなど、かかりつけ医としての“質”を示す要素が、評価に反映される可能性が高いと考えられます。
生活習慣病管理の次なる論点:受診間隔
前回改定で大きな見直しが行われた生活習慣病管理については、次期改定において「生活習慣病管理料Ⅰ(包括)」の算定間隔(現在は月1回)が論点になると見込まれています。
背景にあるのは、リフィル処方の普及促進です。
受診間隔が延長される方向に進めば、診療の効率化が進む一方で、外来収入の構造そのものが変化する可能性があります。クリニック経営への影響は無視できません。
外来機能分化の進展と文書業務・ICT対応
病院外来の適正化を目的に、紹介・逆紹介の強化は今後も継続すると考えられます。
この流れの中で、クリニックには診療情報提供書の作成や、電子カルテ情報共有サービスへの対応など、文書業務の負担が一層増えることが想定されます。
一方で、医療クラークの活用やAIツールの導入によって業務効率を高めることで、「迅速かつ正確に書類を作成できるクリニック」は、地域医療における信頼を高めていく存在となるでしょう。
オンライン診療のさらなる普及へ
オンライン診療は都市部を中心に普及が進む一方、地域差が大きいのが現状です。
次期改定では、算定要件の緩和など、普及を後押しする施策が検討される可能性があります。
電子処方箋との親和性も高く、オンライン診療を導入しやすい環境は着実に整いつつあります。
今のうちから体制整備を進めておくことで、新たな診療機会を捉えられる場面も増えていくでしょう。
まとめ
令和8年度診療報酬改定は、外来医療の「再設計」が大きなテーマとなります。
患者数は減少する一方で高齢者は増加し、クリニックには外来・在宅医療・ICT活用・地域連携を組み合わせた、柔軟な運営体制が求められます。
かかりつけ医機能の可視化、生活習慣病管理の見直し、オンライン診療の普及促進など、いずれも経営に直結する重要な変化です。
これらは単なる点数改定ではなく、「これからのクリニックのあり方」を問う経営戦略そのものと言えるでしょう。
変化を先取りし、着実に準備を進めることが、これからの地域医療を支える大きな力となります。
この記事を監修した人
浅見 允文
16年以上にわたり人事・組織運営支援の分野で実務経験を積み、年間110件を超える医療法人および個人開業医からの支援要請を受ける、株式会社ジムチョーの創業者。事務長代行・事務代行といった実務支援に加え、診療所経営における人的資源管理、業務設計、運営体制の最適化に関する高度な知見を有する。中でも、管理職層・事務長層を対象とした育成・研修においては高い評価を得ており、組織基盤強化と持続的発展に資する中核人材の育成に継続的に取り組んでいる。
