2025/12/16
閉院を前向きな選択に変える ― 医師としての次のステージを考える
医療現場で長年診療に携わってきた医師にとって、「閉院」という決断は非常に重いものだと思います。長年培った信頼関係や地域との繋がり、スタッフとの関係性を考えると、安易に決断できないのは当然です。
しかし、計画的に進めれば、閉院は決して「終わり」ではなく、新しいステージへの「節目」となり得ます。
本稿では、閉院を検討する医師が後悔しないための考え方と、具体的なステップを整理しました。
1. なぜ今、閉院を考える医師が増えているのか
近年、後継者不在や人材不足、医療制度の変化により、閉院を検討する開業医が増えています。
特に高齢化や体力的な負担、慢性的な業務過多が理由となることが多く、患者数の減少だけではなく、医師自身の生活・健康を守ることも大きな要因です。
早めに計画を立てる医師ほど、患者様やスタッフへの影響を最小限に抑えつつ、納得のいく閉院が可能です。
実際に、閉院準備を1年前から始めた医師は、設備の譲渡やスタッフ再配置、患者様への移行もスムーズに進められています。
2. 閉院を決める前に考えるべき3つの視点
閉院を考える際には、以下の3つの視点が重要です。
経営の整理
医療機器のリース契約、賃貸契約、債務状況などを整理します。
特にリースやローンが残っている場合、契約内容の確認と終了スケジュールの調整が必要です。
放置すると、後々大きな負担となります。
スタッフへの配慮
スタッフには閉院の事実を早めに伝え、雇用終了時期や再就職支援を計画します。
適切な時期に説明することで、信頼関係を維持しながら円滑に退職手続きを進められます。
患者様への責任
患者様への対応は最も重要です。
紹介先の選定、カルテ管理、医療情報の引き継ぎを慎重に行いましょう。
急な閉院はトラブルの原因になるため、最低でも1年前から計画することが望ましいです。
3. 後悔しない閉院のためのステップ
閉院をスムーズに進めるためには、計画的なステップが必要です。
- 専門家への相談
会計士、社労士、建築・内装設計事務所など、複数の専門家に早期相談することで、法務・税務・不動産・設備の処理を効率化できます。
- 医療機器・備品の整理
使用していた機器や什器、家具の譲渡方法や廃棄手続きを整理します。
リース契約が残っている場合は契約解除の条件も確認しておきましょう。
- 内装・建物の原状回復
賃貸の場合は原状回復義務があります。
契約に沿った修繕計画を早期に立て、費用や期間を管理します。
- 法人解散・税務手続き
医療法人の場合は法人解散、個人開業医の場合は事業廃止届の提出など、行政手続きを確実に行います。
- 患者への告知と対応
地域医療機関への紹介や、患者への通知方法を整理します。
告知のタイミングや文面も慎重に設定し、トラブルを未然に防ぎます。
4. 閉院後の“次のキャリア”を考える
閉院後の医師には、さまざまなキャリアの選択肢があります。
嘱託医として勤務する、健診センターや教育分野での活動、地域医療アドバイザーとして地域に貢献するなど、経験を活かした新しい働き方が可能です。
重要なのは「閉院=退職」と捉えず、「再構築のチャンス」と捉えたら如何でしょうか。
これまでの経験や信頼を地域や医療現場で活かす方法を探ることで、人生の新たなステージを切り開けます。
5. 空間・設備を次に活かす ― デザイン的視点から
クリニックの閉院時には、内装や設備を再活用する方法も検討できます。
例えば、訪問看護ステーションやリハビリ施設、地域交流スペースへのリノベーションです。
建物や内装を破棄せず、資産として活用することで、投資回収や地域貢献にもつながります。
閉院を単なる「終わり」とせず、「資産の再生」として捉える視点が重要だと思います。
まとめ
閉院は、医師としての長いキャリアの一区切りであり、次のステージへの転機でもあります。
理念や経験を尊重しつつ、計画的に進めることで、患者様・スタッフ・地域すべてにとって最良の選択が可能です。
●計画を早めに立てる
●専門家に相談し、法務・税務・設備・不動産を整理する
●スタッフ・患者への配慮を最優先する
●空間や設備を資産として活かす
閉院を「終わり」と考えるのではなく、医師人生を見つめ直す機会として前向きに捉えることで、次のキャリアや地域医療への貢献が実現できます。
