2026/03/10
2026年、クリニック採用と育成のリアル
「求人を出しても応募が来ない」
これはいま、多くのクリニックが抱えている共通の悩みです。
人手不足だから仕方ない。
確かに半分は正解です。しかし、半分は誤解でもあります。
2026年の採用市場は明確に変化しています。
優秀層は減少し、賃金水準は急激に上昇。募集条件を見直さなければ、相場より見劣りする状態が続きます。
特に今、争奪戦になっているのは次のような人材です。
・即戦力
・ITに苦手意識がない
・協調性がある
・自主的に学べる
この層は、クリニックだけでなく一般企業からも強く求められています。
つまり、医療業界内だけの競争ではなく「業界横断の人材争奪戦」に入っているのです。
応募が来ないクリニックの共通点
採用がうまくいかないクリニックには、いくつかの共通項があります。
第一に、理念が抽象的であること。
「地域に貢献」「患者様第一」だけでは差別化になりません。求職者は、自分がそこで何を実現できるのかを知りたいのです。
第二に、定量化が弱いこと。
年間休日、有給取得率、平均残業時間、昇給モデルなどが曖昧だと、求職者は不安を感じます。数字が見えない職場は、透明性が低いと判断されます。
第三に、成長ストーリーがないこと。
若い世代は「何を積み上げられるか」を重視します。
専門性は身につくのか。キャリアは描けるのか。教育体制はあるのか。
これが見えなければ、将来に不安を感じます。
第四に、人柄が見えないこと。
院長はどんな人か。上司はどんな価値観か。スタッフの雰囲気はどうか。
今の求職者は、ホームページやSNS、口コミまで細かく確認します。
「顔が見えない職場」は選ばれません。
採用は“条件”ではなく“設計”
給与を上げれば応募が来る。
それは一部では正しいですが、万能ではありません。
いま必要なのは、採用と育成をセットで設計することです。
例えば、
・入職1年目で身につくスキルを明示する
・3年後の役割や給与モデルを可視化する
・IT活用や業務改善に挑戦できる環境を示す
・院内研修の年間スケジュールを公開する
これらがあるだけで、「ここで成長できそうだ」と感じてもらえます。
ミスマッチを防ぐために
「なんとなく」求人を出すと、
なんとなく応募が来て、なんとなく辞めていきます。
その結果、
採用コスト増大 → 教育コスト増大 → スタッフ疲弊
という悪循環に入ります。
重要なのは、誰に来てほしいのかを明確にすることです。
・チームワーク重視か
・スピード重視か
・専門特化型か
・総合対応型か
価値観が明確であれば、合う人だけが集まります。
育成体制があるクリニックは強い
採用市場が厳しい今こそ、「育てる前提」の設計が重要です。
即戦力を探し続けるのではなく、
基礎力のある人材を採用し、仕組みで育てる。
・マニュアル整備
・定期面談
・スキルチェック表
・段階的な役割付与
これらがあるクリニックは、結果的に離職率も下がります。
結論
応募が来ないのは、人不足だけが原因ではありません。
・理念の具体性
・数字の透明性
・成長の可視化
・人柄の発信
・育成設計
これらが整ったクリニックは、厳しい市場でも選ばれています。
採用は偶然ではなく、設計です。
そして育成はコストではなく、最大の投資です。
この記事を監修した人
浅見 允文
16年以上にわたり人事・組織運営支援の分野で実務経験を積み、年間110件を超える医療法人および個人開業医からの支援要請を受ける、株式会社ジムチョーの創業者。事務長代行・事務代行といった実務支援に加え、診療所経営における人的資源管理、業務設計、運営体制の最適化に関する高度な知見を有する。中でも、管理職層・事務長層を対象とした育成・研修においては高い評価を得ており、組織基盤強化と持続的発展に資する中核人材の育成に継続的に取り組んでいる。
