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クリニックの分院開業で院長が陥りがちな5つの落とし穴

2025/12/24

クリニックの分院開業で院長が陥りがちな5つの落とし穴

成功するつもりが逆効果!?

クリニック分院開業で院長が陥りがちな5つの落とし穴~

クリニック経営が順調に軌道に乗ってくると、次のステップとして「分院開業」を考える先生も多いでしょう。

患者数の増加、エリアの拡大、医師採用の受け皿づくりなど、分院には多くのメリットがあります。

しかし、その裏で実は「分院開業が失敗の引き金となり、本院まで苦境に立たされる」というケースも決して珍しくありません。

分院は“もう一つのクリニック”ではなく、“もう一つの事業”とも言えるほどの大きな挑戦です。

本コラムでは、現場で実際によく起きている5つの失敗パターンと、その背景・教訓をわかりやすく解説します。

これから分院開業を検討する先生は、ぜひ“落とし穴”を知ってから次の一歩を踏み出してください。


1. 本院がまだ不安定なのに手を出してしまう

最も多い失敗のひとつが、「本院が安定していない段階で分院開業に踏み出す」ケースです。

本院の集患が不安定だったり、スタッフ体制がまだ整っていなかったりする状態で新たな拠点を立ち上げると、経営リソースが分散し、結果として両方が中途半端になるリスクが高まります。

特に院長自身が診療・経営の両方を担っている場合、分院の準備や立ち上げで本院が手薄になることも珍しくありません。
まずは「院長が不在でも本院が安定して回る仕組みがあるか」「利益構造が確立しているか」を確認しましょう。

分院開業は“攻め”の戦略であると同時に、“守り”の体制が前提条件です。


2. 「なんとなく立地が良さそう」で場所を決めてしまう

「駅前だから」「人口が増えているエリアだから」といった直感的な理由だけで出店場所を決めるのは非常に危険です。
市場調査が甘いままだと、想定していたほど患者が集まらず、赤字が続くことも珍しくありません。

特に注意が必要なのは、競合と患者層の違いです。

本院での成功モデルがそのまま通用するとは限りません。

診療圏の人口動態、競合の数や特徴、生活動線など、できる限りのデータを集めて「現実的な需要予測」を立てましょう。

また、開業初期は広告費・人件費が想定以上にかかることも多いです。

最低でも1年間は赤字でも耐えられる資金計画を立てておくことが安心です。


3. 院長の手が回らず、両院ともクオリティが低下

分院開業は、想像以上に院長の「時間」と「決断力」を消費します。

新設備の導入、人材採用、スタッフ教育、方針決定……すべてに関わってしまうと、本院・分院ともに中途半端になり、組織全体のパフォーマンスが落ちてしまいます。

このリスクを避けるには、早期の「任せる仕組み作り」が不可欠です。

本院を信頼できる副院長やマネージャーに任せ、分院は現場を取り仕切る責任者を置くなど、「経営と現場の分業体制」をつくることが成功の鍵です。

分院は「自分が見る場所」ではなく、「チームで育てる場所」と考えることが重要です。


4. 分院長選びを誤り、組織がガタつく

分院開業で最も影響が大きいのが、「誰を分院長に任せるか」です。

医師として腕がよくても、必ずしも組織運営の適任とは限りません。

分院長に必要なのは、医療技術だけでなく、マネジメント力・チームビルディング力・理念の共有意識です。

ここを見誤ると、スタッフが離職したり、本院と方向性がずれたりする可能性があります。

任命後も「任せっぱなし」にせず、定期的な面談や情報共有を通じて伴走する姿勢が大切です。

分院長は“現場の責任者”ではなく、“経営パートナー”であるという意識を持たれるとよろしいかと思います。


5. 本院と分院の「ブランドズレ」で患者が離れる

分院開業後によく起きるのが、「対応や方針が院ごとにバラバラになる」問題です。

受付対応や診療方針、料金体系、ホームページの内容まで異なると、患者は「同じクリニックのはずなのに違う」と不信感を抱いてしまいます。

スタッフも混乱し、職場への不満が離職につながることもあります。

これを防ぐには、ブランド・診療方針・運営マニュアルを標準化する仕組みが欠かせません。

開業前の段階から、「どこを共通化し、どこに現場裁量を持たせるか」を明確にしておくとスムーズです。


まとめ:分院は「拡大」ではなく「再スタート」

分院開業は、クリニックの未来を大きく広げるチャンスです。

しかし、準備不足のまま踏み出すと、本院を巻き込んだ経営リスクにもなりかねません。

大切なのは、「分院=本院の延長線」ではなく、「新しい事業の立ち上げ」として捉えることです。

足元の体制、需要の見極め、チーム体制、リーダー人材、ブランド統一――この5つを丁寧に準備することが、成功への最短ルートです。

分院開業は、院長としての真価が問われるステージ。

失敗事例から学び、確かな戦略で、次の成長ステップへと踏み出していきましょう。

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